似ていないからできること–––Spider Godの「Stay」からポップとブラックメタルについて考える

ブラックメタルというジャンルのことはあまり詳しくないので、曲の良し悪しについてもよくわからない。しかしイギリスのソロ・ブラックメタル・プロジェクトであるスパイダー・ゴッドの「Stay」という曲、これは一聴してとても良い曲だと思った。その甘さと苦さ、繊細さと豪胆さ、希望と絶望の感覚など相反するパラメーターのバランスはフェリーニの映画のごとく絶妙で、ひとつの芸術作品として非の打ち所がないようにすら感じられた。曲を聴いてしばらくはデフヘヴンの『Sunbather』(2013)以来の新鮮な感動と、「こんなものを作っている人がいるのか」という驚きにとらわれていたような気がする。

何はともあれ、まずは以下の文章を読み進めずにその曲をただ聴いてみてほしい。2分少々の短い曲だ(スマホのスピーカーだと音が潰れるのでイヤホンなどをおすすめします)。